美味しいのに、なぜだか心が動かない。パルムはそんな不思議なアイスです。

チョコレートコーティングは甘すぎず、ほんのりビターで、中のアイスもすっきりとしたミルク感。どちらも丁寧に作られていて、バランスは完璧。

でも、完璧すぎる。
まるで優秀なAIが「これが理想的なチョコアイスです」と差し出してくるような、そつがなく、まとまりすぎていて、どこか面白みに欠けるんです。

ミルク系のアイスとしては、チョコの甘さが少し気になる。
チョコレート系のアイスとしては、なにかパンチが足りない。
その「どっちつかず」の絶妙さが、このアイスの魅力でもあり、物足りなさの正体でもあります。

例えるなら、天丼を食べたい時に出てきた天せいろ。
いや、そばも天ぷらも美味しいんです。でも「今食べたかったのはこれじゃない」という、あのズレた感じ。
逆にそばを食べたい時に天ぷらがついてくると、少し重たく感じたりして…。
パルムは、そんな風に少しだけ欲しいものと噛み合わないことがあるアイスです。

私はミルク系アイスを好むので、普段はシンプルなものを選びがち。でも、たまに疲れた時は「今日は何か派手なアイスが食べたい！」と思う日もあります。
そんな時はジャイアントコーンやザ・クレープの方がしっくりきます。パルムは、華やかに楽しみたい時には大人しすぎて、普段食べるにはチョコが少し余計。結局、どのタイミングでも「これだ！」と思い切れないんですよね。

もちろん、ものとしてはとても美味しい。
ただ、私にとっては“タイミングが難しいアイス”という印象が強いままです。